北海道一周ツーリング記録|9月・14日間で最北端と最東端を巡った実録モデルコース

9月、大洗発のフェリーで北海道に渡り、14日間かけて札幌→稚内→オホーツク→知床→根室→釧路→襟裳岬と、最北端・最東端を両方踏んでぐるっと回ってきました。オロロンラインの果てしない直線、エサヌカ線、知床横断道路、トドワラの「この世の果て」感。走行距離は約2,000km。天気に翻弄されながらも、雨の日の立ち回り方まで含めて学びの多い旅でした。

この記事では実際の行程を日ごとに公開し、これから北海道を計画する人がそのまま流用できるモデルコースと、現地で得た教訓をまとめます。準備段階の話(フェリー予約・装備・積載)は北海道ツーリングの準備完全ガイドに書いたので、セットで読んでください。この記事はその「本編」にあたります。

旅の概要:14日間・約2,000km・9月中旬

ルートの骨格はこうです。

時期は9月中旬。夏の混雑が落ち着き、宿も取りやすい一方で、朝晩と海沿いはもう「秋」ではなく「初冬」です。防寒については準備ガイドで散々書いた通りで、フリース+ウインドブレーカーを外せる日はほぼありませんでした。

ポイント:乗船手続きはフェリー出港のかなり前に締め切られます(大洗は17:30頃まで)。東京方面から大洗までは渋滞込みで4時間みておくこと。船内ではバイクは係員の指示で固定されますが、ギアを1速に入れてハンドルロックをかけておくのが基本です。

実際の行程を全公開

主な行程メモ
1日目昼に東京発→大洗18:45発フェリー(船中泊)大洗まで4時間
2日目13:30苫小牧着→札幌泊苫小牧から1.5時間
3日目札幌→留萌約4時間
4日目オロロンライン→オトンルイ風力発電所→サロベツ原野→稚内途中から雨
5日目雨。バイクを置いてフェリーで礼文島観光停滞日①
6日目宗谷岬(朝日)→白い道→宗谷丘陵→エサヌカ線→クッチャロ湖→雄武断続的に雨
7日目雄武→紋別→さくらの滝→網走(網走監獄・流氷館)約2.5時間
8日目オシンコシンの滝→知床五湖→カムイワッカ→知床峠→羅臼泊この旅のハイライト
9日目羅臼→根室(トドワラ→納沙布岬)約3時間+散策
10日目根室→釧路(釧路湿原・ノロッコ号・カヌー)約2時間
11日目雨。釧路にもう1泊(市場・サウナ)停滞日②
12日目釧路→襟裳岬→苫小牧6.5時間の長丁場
13日目苔の回廊散策→苫小牧18:45発フェリー(船中泊)手続きは16:30まで
14日目14:00大洗着→帰宅-

道北編:オロロンラインと最北端

札幌から留萌に出て、いよいよオロロンライン(日本海オロロンライン)へ。左手に日本海、正面に地平線という道が延々と続き、オトンルイ風力発電所の風車の列が現れたときは思わず声が出ました。サロベツ原野を抜けて稚内までは約3時間。途中から雨に降られましたが、見たい場所は一通り見られました。

稚内からは15分で宗谷岬。翌々日には朝日の宗谷岬も見に行きました。準備ガイドでも紹介した白い道(宗谷丘陵)は、ホタテの貝殻を敷き詰めた真っ白な道。走る前は「貝殻の上って滑らない?」と不安でしたが、実際は両端の貝殻が大きいだけで真ん中は細かく砕かれていて、普通に走れました。ノシャップ岬では三色丼(ホタテ・イクラ・イカ)、夜は日本最北の温泉のひとつ「童夢」へ。地元の人で賑わう、いい湯でした。

オホーツク編:エサヌカ線と海沿いの湯

稚内から東へ回り込むと、ライダーの聖地エサヌカ線。電柱もガードレールもない直線が牧草地を貫く、北海道らしさの極みのような道です。この日は断続的に雨だったので、クッチャロ湖やウスタイベ千畳岩、北見神威岬などの見どころは足早に回り、雄武町の温泉宿へ。猿払村の道の駅で食べた焼きホタテは、雨で冷えた体に染みる美味さでした。翌朝の日の出岬はとても気持ちのいい場所で、雨の翌日のご褒美のような朝でした。

網走では博物館網走監獄オホーツク流氷館へ。流氷館の展望テラスで塩キャラメルソフトを食べながら見た夕日は、この旅の食後デザート部門の優勝です。

知床編:この旅のハイライト

8日目は朝7時発で知床へ。オシンコシンの滝を経て知床五湖では、ヒグマ対策のレクチャーを受けてから大回りの地上遊歩道を1時間半歩きました。電気柵のある高架木道は車椅子でも散策できる整備ぶりです。カムイワッカ湯の滝方面はダートが続き、1kmほど進んだところで「この路面をあと10km走るのは危ない」と判断して引き返しました。無理をしない判断も経験のうちです。

そして知床横断道路(知床峠)。直線あり峠道ありで走って楽しく、羅臼岳の眺めは最高。森を抜けた先に海が見えてくる瞬間は、今回の旅で一番テンションが上がりました。羅臼側では準備ガイドでも紹介した無料露天風呂熊の湯へ(ちょうどNHKが取材に来ていました)。硫黄の匂いの白濁湯は熱すぎるけど気持ちいい。宿の和室のテラスから見た星空も忘れられません。

道東編:トドワラ・納沙布岬・釧路湿原

野付半島のトドワラは、立ち枯れたトドマツが広がる砂嘴の湿地帯を1時間ほど散策。広大すぎて「RPGの始まりの大地」みたいでした。ここのホタテバーガーが美味すぎたのも報告しておきます。本土最東端の納沙布岬からは国後島や歯舞群島が見え、根室ではご当地グルメのエスカロップ(バターライスにとんかつ+デミグラス)と、最東端の銭湯でひと風呂。

釧路では釧路湿原を展望台と1時間の遊歩道で満喫し、観光列車のノロッコ号とカヌーも楽しみました。バイクを降りて別の乗り物から湿原を眺めるのは新鮮な体験です。まるひらの鰹が効いた醤油ラーメンは、あっさり系好きなら間違いなくハマります。

最終盤:襟裳岬と苔の回廊

釧路から苫小牧へは、内陸をまっすぐ走れば早いのですが、「次はいつ来られるかわからない」と思い襟裳岬経由の6.5時間コースを選択。正直に書くと、海もあまり見えない区間が長く2時間で飽きました(笑)。それでも風速10m超の岬に立った経験と、途中のカフェでロボットが配膳してくる面白さで元は取れたと思っています。強風地帯は砂埃でシールドやミラーが汚れるので、クリーナーを携行しておくと吉。

最終日は支笏湖近くの苔の回廊へ。倒木をくぐり岩場を越えた先に、緑の苔がびっしり覆う渓谷が現れます。冒険心をくすぐられる締めくくりでした。

走ってよかった道ベスト5

立ち寄ってよかったスポット

分類スポットひとこと
絶景トドワラ(野付半島)この世の果て感。散策1時間
オホーツク流氷館(網走)ソフトクリーム片手に夕日
苔の回廊(支笏湖近郊)軽い冒険気分の苔の渓谷
温泉稚内温泉 童夢最北の湯。地元人気も高い
熊の湯(羅臼)無料露天。熱いがクセになる
日の出岬の温泉宿(雄武町)雨の日のサウナ付き温泉は正義
グルメホタテバーガー(猿払・野付)肉厚ホタテフライ。道の駅の焼きホタテも
三色丼(ノシャップ岬)ホタテ・イクラ・イカの最北丼
エスカロップ(根室)根室のソウルフード
釧路ラーメン まるひら鰹の効いたあっさり醤油
文化博物館網走監獄じっくり見ると半日コース
北方四島交流センター(根室)ロシア文化と日本文化の展示

雨との付き合い方:停滞日を恐れない

14日間のうち、雨に絡んだ日は4日ありました。ここでの判断がこの旅の満足度を大きく左右したと思っています。

これができたのは、日程に余裕があったから。準備ガイドで「予備日を入れろ」と書いた理由を、まさに自分の旅で実感した形です。

現地で得た教訓

9月の北海道は「秋」ではない

日中の市街地は快適でも、朝晩・海沿い・峠は真冬並みの体感です。フリース+ウインドブレーカー+レインウェア(防風着を兼ねる)の重ね着は最後まで手放せませんでした。詳しくは準備ガイドの装備の章を。

車両トラブルは起こるものと考える

オロロンラインを走った日にタコメーターが故障して針が動かなくなりました。幸い走行に支障はなく旅は続行できましたが、市街地を離れるとバイク店まで数十kmが当たり前の土地です。出発前の点検整備は本当にきっちりやっておいてください。

ダートは引き返す勇気を

カムイワッカ方面のダートは1km走った時点で撤退を決めました。フル積載のオンロードバイクで無理をする場所ではありません。「行けるかも」より「戻れるか」で判断すると事故は減ります。

移動時間は控えめでも、余力は残る配分に

札幌→留萌のように午後早めに着く日を作ると「まだまだ走れたな」と感じますが、その余力が翌日以降の長距離日や悪天候日への貯金になります。毎日限界まで走る計画は、どこかで必ず破綻します。

よくある質問

Q. 北海道一周には何日必要ですか?

A. 道北・道東をしっかり回るならフェリー往復込みで2週間が目安です。私は14日間で最北端・最東端の両方を回り、雨の停滞日を2日使ってちょうどいい配分でした。日数が足りないなら、道央か道東のどちらかに絞りましょう。

Q. 9月の北海道は寒いですか?

A. 寒いです。中旬でも朝晩・海沿い・峠は真冬並みの体感になります。夏装備+αではなく、冬装備寄りの重ね着で計画してください。そのぶん夏より宿が取りやすく、観光地も空いているのが9月の魅力です。

Q. 礼文島や利尻島へバイクで渡れますか?

A. 渡れますが、バイクの航送料金は高めです。日帰りなら稚内にバイクを置いて人だけフェリーで渡り、島内は観光ツアーやバスを使うのが費用対効果に優れます。私はこの方式で雨の日を礼文島観光に充てました。

Q. 知床のヒグマは大丈夫ですか?

A. 知床五湖の地上遊歩道は時期によりレクチャー受講が必要で、ルールを守れば安全に歩けます。電気柵付きの高架木道なら気軽に散策できます。食べ物の管理だけは徹底してください。

まとめ

14日間・約2,000kmの北海道一周を終えての結論は、①道北・道東を回るなら2週間+停滞日2日 ②9月は冬装備寄りの重ね着 ③雨の日は離島・温泉・街歩きに変換する ④ダートと長距離は「戻れるか」で判断 ⑤毎日限界まで走らず余力を貯金する。この5つです。

オロロンラインもエサヌカ線も知床峠も、写真で見るのと自分のバイクで走るのとでは別物でした。準備の話は北海道ツーリングの準備完全ガイドにまとめてあるので、この記事で行きたくなった人はそちらから固めていってください。北の大地で会いましょう。